シンプルで覚えやすい
ローマ字配列は、かな配列と比べて使用するキーが少なく、運指パターンもシンプルです。さらに、せおと配列では子音と母音を左右に分けることで、配置の規則性を高めています。同時押しや複雑なレイヤー操作を前提とせず、基本は順次打鍵。覚えることが少なく、習得後の記憶維持コストも抑えられます。
日本語を、指の流れから。
分割・カラムスタッガードキーボード向けの日本語ローマ字配列です。 左手に主に子音、右手に主に母音を置き、指の動きが自然につながるように設計しています。
ローマ字配列は、かな配列と比べて使用するキーが少なく、運指パターンもシンプルです。さらに、せおと配列では子音と母音を左右に分けることで、配置の規則性を高めています。同時押しや複雑なレイヤー操作を前提とせず、基本は順次打鍵。覚えることが少なく、習得後の記憶維持コストも抑えられます。
左手に主に子音、右手に主に母音を配置することで、特定の文字列だけが極端に打ちにくくなることを避けています。さらに、子音同士・母音同士の連接頻度をもとに、左右それぞれの指の動きが自然につながるように配置を設計しています。拗音の ya / yu / yo はローマ字拡張によって一打で入力可能。通常の日本語入力では使う機会の少ないアルファベットも活用することで、日本語だけでなく英語入力でも高い効率を目指しています。
使用するキーが少ないため、手全体を大きく動かす場面を抑えられます。さらに、指の動きが自然につながるように配置されているため、無理な運指が生まれにくい設計です。操作そのものもシンプルなので、長時間の入力でも、指だけでなく操作を考えるための負担も増やしにくくしています。
日本語入力において一切妥協なしの
「究極のユニバーサルデザイン」を探索し、見出した一つの答え。
C → K、X → YA、J → YU、Q → YOのローマ字拡張を含む通常版。
IME側のローマ字拡張を使わず、標準的なローマ字規則で使いやすくした版。通常版とは配置自体も一部異なります。
せおと配列は、子音と母音の左右分担と自然な運指を軸に、覚えやすさと長時間の打ちやすさを両立することを目指して設計しています。
まず、日本語入力の中心となる母音を右手側にまとめます。さまざまな並びを試した結果、 母音はこの配置としました。
大西配列との違いの一つは、中指による同指連続を、せおとではそこまで強い悪運指とはみなしていないことです。 三連続母音では o-i-u が目立ち、代表例が「という」です。しかし「という」の「と」は格助詞として意味上の区切りに近い役割を持ち、o → i にも入力リズム上の切れ目が生まれやすいため、 ここにアルペジオ的な速さを必須とは考えませんでした。
頻度だけを最大化するのではなく、実際の日本語でどこにリズムの切れ目が生まれるかまで含めて配置を決めます。

日本語では子音の種類が多いため、すべてを左手へ寄せると左右の負荷が偏ります。 そこで母音側へ持っていく子音として、まず W を選びました。
現代の日本語入力で主に考えるのは「わ」と「を」です。W → A と W → O の双方を無理なく流せる位置を探すと、 この場所が最も自然でした。

「、」「。」は頻度が高いため、余った場所へ置くのではなく独立して配置を検討しました。 一方で句読点は意味の切れ目で入力されることが多く、入力リズムにも自然なバッファが生まれます。
そのため句読点前後の同指連続は、通常の文字ほど大きなペナルティとはみなしません。 それよりも、頻度に見合った押しやすさと、次の文章へスムーズに戻れることを優先してこの位置に置きました。

次に YA、YU、YO を右手側へ独立して配置します。 日本語では「よう」「ゆう」のような YO → U、YU → U の連接が多く現れます。
そこで、これらを指が自然に流れる位置関係に置き、母音側だけでもアルペジオ的な連続入力を作れるようにしました。

残った右手側には、ヴ系入力用の V、小文字入力用の L、YE 入力用の Y を配置します。 YA / YU / YO はすでに専用キーを持つため、日本語入力で通常の Y が必要になる場面は大きく減ります。
Y は E との連接を考慮。L はチャットでの小文字入力に加え、英字入力でも比較的使うため、 残った候補の中で押しやすい位置を与えました。V は日本語入力では頻度が低いため小指下段です。

右手側の骨格が決まったところで、左手へ主要な子音を配置します。 せおとの設計時に、大西配列の大西さんが公開している日本語テキスト jap-n.txt を使って集計したところ、同一子音の連続は N → T → K → S → R → H → M の順に多く現れました。
小指は連続打鍵に弱いため、これらをできるだけ小指へ割り当てないようにします。 同時に、上段・下段を大きく跨ぐ運指を減らし、指の自然な移動方向へつながるよう調整しました。 また「じゃ・じゅ・じょ」系は J を使わず、Z 側へまとめます。
集計元:大西配列の作者・大西さんが公開している jap-n.txt

左手の子音は、右手の母音よりどうしても指の移動が多くなります。 そこで、入力途中で左手の動きに引っかかりを与えやすい促音「っ」、撥音「ん」、長音「ー」、Backspace を右手ホームポジションの裏レイヤーへ移します。
これによって左手は子音入力へ集中しやすくなります。 Backspace は単なる補助キーではなく、文章を校正するうえで非常に重要かつ高頻度な操作なので、 裏レイヤーの中でも押しやすい人差し指位置に置きました。

同じアルファベット配置で英語入力の性能も上げるため、通常版では限定的なローマ字拡張を使います。C = K、X = YA、J = YU、Q = YO の4つです。
理論上は、英語性能だけを基準にアルファベットを配置し、日本語側を全面的なローマ字拡張で吸収することもできます。 しかし、それでは記憶と認知の負荷が大きくなります。 そこで、通常のローマ字入力との対応をなるべく残しながら、効果の大きい4キーだけを拡張するところで止めました。

ここまでで、せおと配列そのものは完成です。さらに入力効率を追求したい場合だけ、 子音連続を利用した任意のローマ字拡張を追加できます。
右手側では連母音や専用拗音キーによってアルペジオを作れますが、左手の子音側にはその機会がほとんどありません。 そこで、通常はあまり現れない子音 → 子音の経路へ、頻出表現そのものを割り当てます。たとえば sd → です、scs → しかし、st → して のような形です。
これは必須仕様ではありません。通常の入力を置き換えず、覚えたぶんだけ近道が増えるオプションです。
この拡張は、通常の入力経路を置き換えるものではありません。従来の打ち方はそのまま残し、覚えたショートカットだけを「近道」として追加します。
ローマ字入力では子音 → 子音の連続はもともと少なく、せおとでは促音も専用キーで扱うため、左手の子音側には使われにくい連続経路が残ります。そこへ頻出表現を割り当てる、という位置づけです。
利用にはIME側のローマ字テーブル変更が必要です。自分で入力環境を管理できる場合に向いた任意拡張で、設定を持ち込めない環境ではLite版の方が扱いやすくなります。ローマ字規則を柔軟に扱うため、MozcをフォークしたIME「Mozkey ↗」も開発しています。

一方で、不特定の複数PCを使う、IME設定を持ち込めない、といった環境では可搬性が重要になります。 そのため、ローマ字拡張への依存をなくした Lite版 も用意しています。
通常版は、自分の入力環境を管理できる場所で性能を引き出す構成。 Lite版は、標準的なローマ字規則を保ち、どこでも再現しやすい構成です。 どちらも同じ設計思想から、環境条件に応じて分岐したものです。

せおと配列は、数値だけで完成させた配列ではありません。Keyflow Analyzerでキー位置・遷移・同指連続・指ごとの負荷などを確認しながら配置を調整し、実機でも繰り返し入力して、数値だけでは見つけにくい打ちにくさを探しました。
データ上では良く見える配置でも、実際に打つと引っかかることがあります。逆に、単純なコスト値だけでは評価しにくくても、入力のリズムや意味上の区切りによって問題になりにくい運指もあります。
分析 → 実打 → 修正 → 再分析を繰り返しながら、数値と身体感覚の両方から配置を詰めていきました。
せおと配列では、文字頻度だけでも、移動距離だけでも、同指率だけでも決めません。 日本語の連接、意味上の切れ目、指ごとの特性、左右負荷、英語入力、記憶負荷、可搬性までを 同じ入力システムの制約として扱います。
完成した配列は、その制約同士の折り合いを一つずつ付けた結果です。
以下では、設計時の検証に使ったKeyflow Analyzerで、QWERTY・せおと・大西配列を同じ条件で比較します。平均値だけでなくコスト分布まで見ることで、配列ごとの傾向を確認できます。
Keyflow Analyzerを開く ↗Keyflow Analyzerでは、位置・遷移・反復・疲労回復と、コスト分布を同じモデルで確認します。
95パーセンタイル、標準偏差、コスト分布、指負荷、実使用。
身体差、キーボード差、姿勢・訓練差、設定したコストモデルへの依存。
キーボードの論理配列は、文字の並びだけで完結するものではありません。どこに物理キーがあり、そこへ各指がどう動くかによって、同じ配列でも運指の性質は大きく変わります。せおと配列では、一般的なロウスタッガードではなく、分割・カラムスタッガードキーボードを前提としています。
行ごとに横へずれる一般的な配列です。指ごとの上下運動を基準にした配置ではないため、せおと配列が重視する「各指を自然に使う」設計とは方向が異なります。
キーを縦横の格子状にそろえ、横方向のずれをなくした配列です。各指を上下に動かしやすい一方、列の高さはそろっているため、指の長さの違いまでは吸収しません。特に短い小指では上段が相対的に遠くなりやすくなります。
縦列を保ちつつ、指ごとに列の高さをずらした配列です。中指・薬指・小指など、それぞれの長さに合わせてキーを近づけやすく、特に小指上段のような遠いキーへの無理な伸びを抑えやすくなります。
せおと配列では、各指の自然な可動範囲を活かし、特定の指に負荷を集中させないため、分割・カラムスタッガードキーボードを前提としています。
分割型なら左右のユニット間隔や角度を体格に合わせて調整でき、肩を自然に開いたまま、手首を無理に内側へ寄せない姿勢を取りやすくなります。せおとの「左手は主に子音、右手は主に母音」という役割分担とも相性がよく、左右の手をそれぞれ一つの入力単位として設計しやすくなります。
カラムスタッガードでは、薬指や小指を含めた各指が自然に動ける位置へキーを置きやすくなります。特定の指だけに仕事を集中させず、5本の指で相互に助け合うことが、物理的な負荷を抑えるというせおとの目的に合っています。
ロウスタッガードとカラムスタッガードでは、求められる指の動きそのものが異なります。だから、どんなキーボードでも同じ論理配列が最適とは限りません。カラムスタッガードへ移行することは、論理配列そのものを見直す良い機会でもあります。
現時点の制作記と設定情報は noteの記事 ↗ にあります。
せおと
自然な運指で、コロコロと流れる瀬音のように、軽やかにリズミカルに日本語を紡げますように。
最高速だけではなく、長く入力しても流れを崩しにくいこと。その意図を名前にしています。